<目次>
1.あせもとは
2.あせもの症状
3.あせもの原因
4.好発部位
5.当院での治療法
6.日常生活での予防・対策
7.受診の目安
8.ポイント
9.よくある質問
1.あせもとは?
あせもは、何らかの原因で汗の通り道である汗管が詰まり、汗が皮膚の外に出られなくなることで起こる皮膚疾患です。汗をかきやすい夏場や、汗の蒸発しづらい高温多湿の環境で発症しやすく、赤ちゃんから大人まで誰にでも起こり得る、身近な皮膚トラブルです。医学的には汗疹(かんしん)といいます。
2.あせもの症状
あせもは、汗の通り道が詰まる深さによって3つのタイプに分けられ、それぞれ症状が異なります。
(1) 水晶様汗疹(白いあせも)
最も軽度なあせもです。
見た目: 透明〜白い小さな水ぶくれがポツポツと出る
大きさ: 1〜2mm程度の小さな粒
かゆみ: ほとんどない
特徴: 数日で自然に治ることが多い。赤ちゃんの顔にできやすい。
(2) 紅色汗疹(赤いあせも)
最も一般的で症状が強いあせもです。
見た目: 赤い小さなブツブツが密集して出る
かゆみ: 強いかゆみがある
触った感じ: 少し盛り上がっている
特徴: 掻いてしまうと悪化しやすい。特にお子様の場合、掻き壊してしまうとトビヒ(とびひ)になってしまうことがあります。
(3) 深在性汗疹(白く平たいあせも)
比較的珍しいタイプで、日本ではあまり見られません。
見た目: 青白く平べったいブツブツ
かゆみ: ないことが多い
特徴: 皮膚の深い部分で起こる
3.あせもの原因
● 汗管の閉塞 – 汗の出口が角質や汚れなどで詰まる
● 高温多湿環境 – 汗をかきやすく、蒸発しづらい状況
● 衣類の摩擦 – きつい衣服による物理的刺激
● 不適切なスキンケア – 過度な洗浄や保湿不足
4.好発部位
汗をかきやすく、蒸れやすい部位によくできます。
● 首回り
● 脇の下
● 胸や背中
● 肘や膝の内側
● おむつ部分(乳幼児)
5.当院での治療法
(1) 外用療法
●ステロイド外用薬 – 炎症とかゆみを抑制
●抗炎症外用薬 – 軽度の炎症に対応
●保湿剤 – 皮膚バリア機能の回復
(2) 内服療法
● 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬) – アレルギー反応の抑制、かゆみの軽減
(3) スキンケア指導
● 適切な洗浄方法
● 保湿のタイミングと方法
● 生活環境の改善アドバイス
6.日常生活での予防・対策
(1) 環境対策
● 室温・湿度の調整:エアコンや除湿器を活用して、汗をかきすぎないようにしましょう。
● 通気性を良くする:吸水性の良い素材の衣服にし、ベルトなどで締め付けすぎたり、タイトな服は避けるようにしましょう。デスクワークなどの際も、こまめに立ち上がるなどして、長時間同じ姿勢をとらないようにしましょう。
(2) スキンケア
● 肌のコンディションを整え、清潔に保つ:汗のつまりを発生させないためには、肌を清潔に保つことが大切です。日ごろから、ぬるま湯で、石鹸を泡立ててやさしく洗浄するようにしましょう。
● 汗をかいたままにしない:汗をかいたらなるべく早めにシャワーで流すのがベストです。シャワーを浴びられない場合は、拭き取るのもよいですが、ごしごし拭くと、それ自体が肌へ負担となりますし、汗拭きシートでかぶれることもありますので、注意して使うようにしましょう。シャワーを浴びるのが難しい場合は、こまめに着替えるのもよいでしょう。
● 適度な保湿:汗をかくとしっとりするので、夏は保湿は不要と思われがちです。しかし、汗に多少の保湿成分は入っているものの、汗が蒸発する際に皮膚の水分も一緒に奪われ逆に乾燥したり、また塩分が皮膚に残ると刺激になったりと、保湿剤のかわりにはなりません。夏でも、軽いテクスチャーの保湿剤を使用し、皮膚のバリア機能をしっかり維持するようにしましょう。
7.受診の目安
以下の症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
● かゆみが強く、日常生活に支障がある
● 寝ている間にも掻いてしまっている
● 無意識に搔いている
● 赤みや腫れが広範囲に広がっている
● 水ぶくれが破れて汁が出ている
● 発熱を伴う
● セルフケアで改善しない
● 繰り返し発症する
8.ポイント
あせもの予防には、汗をかいたままにしないことが大切です。
あせもは、特にお子さんで搔き壊してジュクジュクした状態になると、菌が繁殖して化膿し、トビヒ(さらにジュクジュクしたり、かさぶたになったりし、かゆみの強い状態)になりやすくなります。トビヒは細菌が増殖した状態なので、抗生剤の飲み薬が必要になることがあります。早めに受診するようにしましょう。
早く、きれいに治すために大切なことは、早い段階で十分な効果のあるステロイド外用薬を使い、掻き壊しを防ぐことです。ステロイドは適切に使用すれば心配ない薬ですが、ステロイドの使用にご不安がある方は遠慮なく仰ってください。
9.よくある質問
Q. あせもは自然に治りますか?
A. 軽度のあせもは環境を整えることで自然治癒することもありますが、かゆみが強い場合や広範囲の場合は適切な治療が必要です。とくにお子さんの場合は、掻くことを我慢できず、掻きむしってしまってトビヒになることも珍しくありませんので、早めの治療が大切です。
Q. 市販薬でも治療できますか?
A. 軽度のものは市販薬でも改善することがありますが、症状が続く場合や悪化する場合は皮膚科での診察をおすすめします。
Q. 大人でもあせもになりますか?
A. はい。あせもは年齢に関係なく発症します。特に汗をかきやすい体質の方や、高温の環境で働く方に多く見られます。
あせもでお困りの際は、お気軽に当院までご相談ください。患者様の症状に応じた適切な治療法をご提案し、快適な日常生活をサポートいたします。