最近、とびひの患者さんが増えています。
とびひは「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」という皮膚の細菌感染症です。「火事の火の粉が飛び火するように、あっという間に広がる」ことから「とびひ」と呼ばれています。
主に夏場に多く見られ、特に乳幼児や小学校低学年の子どもに頻発する疾患です。水ぶくれやジュクジュクした皮疹が特徴で、適切な治療により比較的短期間で治癒しますが、うつることがあるので、早期の対応が重要です。
とびひの原因は?
あせもや虫刺されなどを掻いてしまったりして傷になると、細菌が感染を起こし、とびひとなります。細菌は普段から皮膚にいる常在菌が原因のことが多いです。普段は皮膚にいてもとくに悪さをしないのですが、湿疹や虫刺されなどがあるとそこで増えてしまい、とびひを引き起こします。
ですので、あせもやアトピーなどの湿疹や、虫刺され、すり傷など、皮膚トラブルがある部位はしっかり洗って清潔に保ち、適切な治療をして早く治すことが、とびひの予防としてとても大切です👍
とびひの症状は?
もともと湿疹などがある部位に、水ぶくれができたり赤みが増したりし、かゆみが強いのが特徴です。次第に水ぶくれが破れてじゅくじゅくしたり、かさぶたができたりし、同じような病変があちこちに増えてきます。体のどこにでもできますが、顔(とくに鼻や口のまわり)、腕、脚によく見られます。
とびひの診断は?
特徴的な見た目から診断は比較的容易ですが、最近は耐性菌(一般的な抗生剤が効かない菌)によるとびひが増えており、菌の種類の特定・有効な抗生剤を確認するための検査をします。綿棒で病変部をこするだけですので、痛くはありません。

とびひの患部
とびひの治療は?
細菌感染がメインですので、抗生剤の飲み薬、塗り薬を使います。また、通常、もともとあせもやアトピーなどの湿疹や、虫刺されなどの病変があることが多いですので、そちらの治療も並行して行うことで、治りが早くなります。
また、コロナ禍で手洗いが励行されたことは記憶に新しいかと思いますが、しっかり洗浄すればそれだけでも菌を減らすことができます。石けんを泡立てて、やさしく、でもしっかりと洗うことも治療として大切です👍
かさぶたやじゅくじゅくした病変がある間は、周りへもうつす可能性がありますので、自己判断で治療を中止せず、診察を受けるようにしましょう。通常は1~2週間で良くなります。
とびひを予防するには?
夏は高温多湿で、雑菌が増えやすい状態にありますので、汗をかいたらこまめに流したり拭いたり、また毎日お風呂でしっかり洗い、清潔を保つようにしましょう。とくにあせもや虫刺され、傷などがあるところこそ、よく洗ってとびひを予防しましょう。
また、あせも、アトピーなどの湿疹、虫刺され、傷などの皮膚トラブルは、放置せず、早めに治療することでとびひを予防することができます。
学校や幼稚園・保育園は行ってもいいの?
これに関しては、日本皮膚科学会や、日本小児皮膚科学会などが統一見解を出しています。
病変が広範囲の場合や、発熱などの全身症状のある場合は学校・園を休んでの治療を必要とすることがありますが、病変部をガーゼ・包帯などできちんと覆って、病変部が露出していなければ、休む必要はありません。ただし、プールや、柔道など体が密着する可能性のあるスポーツはお休みしましょう。
ただし、学校や園により、規定が異なることもありますので、発症してしまったら学校・園にご連絡、ご確認をお願いします。
港区の認可保育園では、医師が軽快したと判断したら、以下の書類を保護者の方が記載して提出することになっています。園でもらえますので、聞いてみて下さいね。
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登園届け(港区)
夏はとびひになってしまう機会が多く、かかってしまうとせっかくのプール🌊や旅行✈️を楽しめなくなってしまいます。
ポイントをまとめると、
❗湿疹や虫刺され、傷などの皮膚トラブルは早めに適切に治す
❗皮膚トラブルのあるところはしっかり洗ってとびひを予防する
❗とびひになってしまったら、広がる前に早めに皮膚科を受診し適切な治療を。
❗病変部はしっかり洗いましょう。
です!
皮膚トラブルの多い夏ですが、乗り切って楽しみましょう🌞