<目次>
1.多汗症かも?!と思ったらぜひチェックを
2.多汗症とは?
3.どんな治療法がある?
4.医師からのメッセージ
1.多汗症かも?!と思ったらぜひチェックを
~汗のことでお悩みの方はこちらをチェックしてみてください~
□体の左右で同じように汗をかくことがある
□睡眠中は汗をかかないことが多い
□週に一度以上、多量の汗をかくことがある
□暑くない環境でも汗が出る
□同じような症状を持つ家族がいる
□汗が原因で日常生活に支障を感じることがある
(例:勉強や仕事に集中できない、服の選び方が限られるなど)
□多汗症が気になり始めたのが25歳以下である
特定の原因が思い当たらず、上記のチェック項目のうち2つ以上に当てはまり、6か月以上続いている場合は、多汗症の可能性があります。
自覚的な症状によって、重症度を分類することができます。
① 全く気にならない、日常生活に支障なし
② 我慢できるが、時々邪魔に感じる
③ なんとか耐えられるが、頻繁に邪魔に感じる
④ 耐え難い、常に邪魔に感じる
この中で③と④は、重症の兆候とされています。
2.多汗症とは?
汗をかくことは、人間が進化の過程で身につけた重要な機能のひとつです。体温が上昇すると、汗の蒸発によって適切に温度が下げられ、脳や体の働きが正常に保たれます。また、汗には老廃物の排出や、肌の保湿にも関与しています。緊張や興奮といったストレスを感じたときや、辛い食べ物を摂取した際、さらには風邪などによって体温が上がると、体温を下げるために汗が分泌されます。さらに、甲状腺機能亢進症など、体内での熱産生が増える病気や薬の副作用が原因で、多くの汗をかくこともあります。
多汗症とは、特にこれらの理由がないにも関わらず、生活に支障をきたすほどの多量の汗をかく状態を指します。この状態は「原発性多汗症」と呼ばれ、人口の約5%が何らかの形で悩んでいるとされています。
汗をかきやすい場所としては、頭部、顔、手のひら、足の裏、脇の下などがあり、個人差があり、複数の部位で汗が出ることも多いです。
3.どんな治療法がある?
患者様に合わせた治療法をご提案していきます。
(1)塗り薬
・エクロックゲル
日本で初めて保険適用の塗り薬。エクリン汗腺の発汗作用を誘発するアセチルコリンの働きをブロックすることで多汗症抑制に効果があるとされています。
・ラピフォートワイプ
抗コリン外用薬で作用はエクロックとほとんど同じです。個人差はありますがエクロックゲルよりも効果が出るのが早いことがあります。
・塩化アルミニウム
汗管を閉塞させることで発汗を抑える効果があります。濃度を上げれば効果も上がりますが刺激も強くなるので注意が必要です。(保険適応外)
・ボトックス
持続期間は3ヶ月から6ヶ月程度です。数日後から効果が得られることが多く当院ではワキボトックス治療は自費治療となります。初夏に注射をするのがおすすめです。
(2)内服薬
・抗コリン剤
発汗作用を誘発するアセチルコリンの活動をブロックする薬剤です。全身の発汗を抑制します。(投与量によっては乾燥症状や口渇感が出現する場合もあります。)
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)/桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
漢方薬は効果を実感できるまでに時間がかかる場合が多いとされています。
4.医師からのメッセージ
多汗症が原因で、人とのコミュニケーションを避けたり、周囲に理解されにくくて悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。多汗症は治療可能な皮膚の疾患であり、汗の分泌を調整することで、体臭の問題も改善できる場合があります。
お悩みの解決をお手伝いできたらと考えています。どうぞお気軽にご相談ください。